イスラム法学者とアラビストが映画『ジャーニー』を観に行った…【中田考のレンタルおじさん】
中田考「レンタルおじさん、始めました」連載第2回
■何故クオリティが低いのか!?
中田:この前「鬼滅の刃」の映画観に行ったんだけど到底比べ物にならないよね。まるで実写かと思わせるような鬼滅の緻密な絵と滑らかな動きと比べると、ジャーニーなど紙芝居のように感じられました。MbSが予算をケチってこういう出来になったのか、そもそも東映アニメーションがアラブを舐めて作ったとかなのかなぁ。どっちだろうねぇ
依頼者:やれって言われたから作ったっていうくらいの作品でしたね
中田:本当にそうだよね。それにすごい説教くさいでしょ。
依頼者:日本人向けに教えてくれる感じはしましたよね
榮谷:説教くさいというよりあの回想で物語のテンポが落ちていたましたよね。こっちとしてはもうある意味結末を知っているのにムーサー(モーセ)の出エジプトとかヌーフ(ノア)の方舟とかの全く無関係な話が挟まれてすごく冗長に感じましたよね
中田:モーセの出エジプトにしても、ノアの箱舟にしても、主人公アウスにとって実体験に基づくリアリティのある実話でなく、ただの又聞きの昔話でしかない。そんなもので神の奇跡が起こるのを信じる、と言われても、偶像を崇拝していた当時のメッカの多神教徒たちにも説得力はないし、そもそもキリスト教徒でもなく聖書も信じていない日本人にはピンときませんよね。それに直接「努力して良いことをすれば必ず神は報いてくれる」とか「信仰心があれば必ず奇跡は起きる」とか口に出すのではなく、ストーリーと映像で伝えるのが本来のアニメでしょう。
依頼者:本当に心理描写がないままストーリーに置き去りにされていく様でしたね